低金利の背景と原因に関して

低金利の背景と原因、そしてFX運用法

低金利の背景と原因に関して

日本銀行は2007年2月に市場の短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を年0.5%に引き上げた。しかし,米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題を発端に,8月に世界の金融市場が混乱した影響で,その後は利上げに踏み切れていない。

 

好調な世界経済の先行きも不透明になっており,世界でも例をみない超低金利政策は出口が見えない状態だ。1990年代のバブル経済の崩壊により,日本はF失われた10年」と呼ばれる長期の景気低迷に陥った。

 

企業はリストラを迫られ,銀行も不良債権処理に追われて貸し出しを抑制。経済活動は停滞し,物価が経常的に下がるデフレ状態に陥った。

 

日銀は「経済の血液」である資金を借りやすくするために金利を下げ続け,99年には金利0%のゼロ金利政策を導入。 00年夏に年0.25%に引き上げたが,半年後には再びゼロ金利に戻したうえ,金融市場にお金をあふれさせる「量的緩和政策」という奇策まで導入した。

 

景気回復にともない,06年3月に量的緩和政策をやめ,同年7月に年0.25%に実質実効為替レートの推移実質実効為替レートは物価変動を考慮して海外通貨に対して円か高いか安いかを示す。07年度内には2回の追加利上げがあると予想されていたが,8月上旬にサブプライム問題が深刻化し,年度内の利上げは難しいとの見方も浮上している。

 

他の先進国に比べて金利が圧倒的に低いため,円を借りて海外で運用する「円キャリー取引」が急増。過剰流動性と呼ばれる世界のカネ余り現象の一因となった。サブプライム問題による金融市場の混乱は,過剰流動性を背景に,甘い審査で多くの証券化商品が世界中で販売されたために生じた面もある。原油や金,不動産などの価格高騰も招いている。

 

一方,低金利は借入額の多い企業にとっては利点が大きいが,年金生活者など金利収入への依存が大きい人にとっては大打撃だ。個人消費が低迷し,消費者物価が伸び悩む原因にもなっている。日銀は国内経済は緩やかに拡大を続け,物価も将来は上昇に向かうとみているが,金融市場の混乱が米国をはじめとする世界経済を減速させる懸念を一掃できず,利上げは足踏み状態だ。

 

ただ,原油などの原材料価格の高騰などで,国内でも特に中小企業の業績が悪化し,個人消費が冷え込む恐れを指摘する声も広がってきた。国内外で厳しい経済見通しが出ているなかで,次の一歩をいっ踏み出せるのか,日銀は難しい判断を迫られている。

 

・金融政策決定会合

 

日銀の最高意思決定機関である政策委員会が金融政策を議論・決定する会合で, 1998年4月施行の改正日銀法で導入された。政策委員会の構成メンバーは総裁と2人の副総裁,有識者から選ばれた審議委員6人の計9人。

 

任期は5年で,衆参両院の同意を得て内閣が任命する。原則として月2回開き,景気判断を検討し,利上げ,利下げなど当面の政策を決定する。旧日銀法では政府の代表が政策委員に含まれていたが,日銀の独立性を確保するため,現在は財務相と経済財政担当相(または代理)が会合に参加。意見等を述べるが言決権はない。

 

会議の中身は非公開で約1カ弓後に議事要旨が公表され, 10年経過後には議事録が公開される。それ以外の政策は原則各週火,金に開催される通常会合で決める。

低金利のFX運用法「円キャリー取引と円安」

超低金利の円を借りてドルやオーストラリアドルなど高金利の外国通貨で運用する取引。全利差による金利収入のほか,外貨を購入して,売却時に為替相場が円安方向なら為替収益も得られる。日本は膨大な経常黒字を計上しており,本来なら円高になるはずなのに円安が進む理由として注目された。

 

なかでも存在感を増しているのが個人投資家が元手の数倍から数十倍もの金額を取引できる外国為替証拠金取引(FX)だ。

 

主婦にまで広がり2007年夏までの円安の大きな推進力となったが,数億円規模の脱税で摘発された人も出ている。ただ,サブプライムローン冑題の影響で米国経済の先行きに不安感が拡大して世界の株式市場が大幅に下落。

 

円キャリー取引を解消する動きが広がり, 8月に入って一気に円高が進んだ。一時は円安に戻って円キャリー取引も復活していたが,米国の全融機関の巨額損失計上をきっかけにサブライム問題への不安が再燃。 11月には1年半ぶりの1ドル=107円台まで上昇した。

 

・消費者物価指数(CPI)

 

消費者が日常的に購入する商品価格を示す指標で,家電や衣料,食料品のほか家賃や電話料金,授業料などのサービスを含む584品目の価格から算出する。

 

日銀の金融政策変更の目安の一つとなるほか,国民年金の給付水準を見直す指標としても使われている。 06年8月の基準改定では同年3月の量的緩和解除前後の月でCP Iがプラスからマイナスとなり,日銀の判断に疑問の声が出るなど「CP Iショック」と呼ばれた。

 

CPIはその後も低調に推移し, 07年も9月まで8ヵ月連続で前年比マイナスとなったが,今後は原油高などでプラスに転換する見通しだ。

世界のFX事情「規制編」

米国でも日本同様、FX、CFD、コモディティーにレバレッジ規制がはいっている。米国の当局は、個人投資家が多大なレバレッジを扱えるのかどうか懸念しているが、これまでのところ措置は限定的だ。 8月30日には、為替取引を行う個人投資家が借りられる金額の制限を強化する案で、米商品先物取引委員会(CFTC)が譲歩した。現在は1ドルの投資に対し100ドル借りられる。これを10ドルに引き下げようとしたが、ブローカーや個人投資家からの一連の抗議を受け、50ドルに決まった。これは、大手ブローカーの多くが現在認めているのと同額だ。

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